2009-01-01から1年間の記事一覧

映画 「イングロリアス・バスターズ」 タランティーノ監督作

評価★★★★ 第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたフランス。反ユダヤ主義を掲げるナチス軍は非道なユダヤ人狩りを進める一方で、イングロリアス・バスターズと周囲に称される凶暴なアメリカの特殊部隊がフランス内に潜入、次々とナチス兵を捕らえては殺…

映画 「マラドーナ」

評価★★★★ 「アンダーグラウンド」「ライフ・イズ・ミラクル」などオレのだ〜い好きな映画をつくったユーゴスラビアの芸術的映画監督にして映画界の至宝、エミール・クストリッツアの最新作。今回もすばらしい映画だが、映画ファンが観る映画ではない。マラド…

映画 「サイドウェイズ」

評価★★ オリジナルの脚本は、第77回アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞した「サイドウェイ」。監督は、日系人の母親を持ち日本の高校を出ているチェリン・グラック。主演の小日向文世と生瀬勝久という2人の役者はとてもいい。肩の力が抜けた演技はとっても…

小説「樅の木は残った」   山本周五郎著

樅ノ木は残った (下) (新潮文庫)(2003/02)山本 周五郎商品詳細を見る評価★★★★★ 山本周五郎は「さぶ」しか読んだことがない。大人の友情を描いた「さぶ」は、今でもまったく色あせることのない、歴史小説の枠を超え、最高にすばらしい泣ける小説であり、同じ…

映画 「母なる証明」 ボン・ジュノ監督作

評価★★★ 韓国人監督、ボン・ジュノの最新作。ボン・ジュノの作品は、3人の監督による3作オムニバス映画「TOKYO!」を観たことがある。レオン・カラッススとミシェル・ゴンドリーとの、いわば競演だったが、他の2人に比べてボンジュノの作品が最も分…

「雇用の常識―本当に見えるウソ」    海老原嗣生著

雇用の常識「本当に見えるウソ」(2009/05/18)海老原 嗣生商品詳細を見る評価★★★★ リクルート系のプロの転職エージェントとして雇用の現場を知り尽くした著者が、雇用問題に関して巷間もっともらしく聞こえてくる俗説に対し、その誤りを検証・整理し、本当の…

映画 「パイレーツ・ロック」

評価★★ 「ラブアクチュアリー」「ブリジッドジョーンズの日記」のリチャード・カーティス監督によるコメディ映画。 内容は1960年代のイギリス。ビートルズやストーンズらロック全盛の当時、若者らの拠り所だったのが、違法のロック専門海賊番組「パイレ…

映画 「風が強く吹いている」 

評価★★★ 三浦しをんの小説を映画化したもの。箱根駅伝を題材にした青春映画。 各種映画サイトを調べてみると、観賞者の評価はどこも高い。けど苦手な青春映画、しかもなんだか安直なテレビドラマみたいな雰囲気なので観るつもりはなかった。でも先週末、知り…

映画  「This is it! 」 (マイケルジャクソンの追悼映画)

評価★★★★ 正直いって、マイケル・ジャクソン(MJ)は特に好きではない。彼の音楽の中には好きな曲もあるけど、強いていえば、不自然な容姿が気色悪くて好きになれなかった。 第一に、どうして黒人の黒い肌があんなにも白くなったのか。MJが何度も美容整…

ゲリー・ケネディ著 「ヴォイニッチ写本の謎」  青土社 

ヴォイニッチ写本の謎(2005/12)ゲリー ケネディロブ チャーチル商品詳細を見る評価★★★ 1912年に突如発見された「ヴォイニッチ写本」という暗号めいた文字が記された謎の古文書をめぐる、その発見当初の様子とその後の解読作業の歴史、そして現在の状況ま…

「ニューズウィーク日本版ペーパーブックス 馬鹿(ダム)マネー 金融危機の正体」 ダニエル・グロス著

ニューズウィーク日本版ペーパーバックス 馬鹿(ダム)マネー(2009/09/29)ダニエル・グロス商品詳細を見る評価★★★★ 米ニューズウィーク誌を代表する経済コラムニストが書いた、昨年9月15日のリーマンショック以後の金融危機の要因に的を絞って時系列に分析…

ノンフィクション 「カリスマ ― 中内功とダイエーの戦後」 佐野眞一著 

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)(2001/04)佐野 眞一商品詳細を見る評価★★★★★ 1997年6月から日経ビジネス誌で2年ちかく連載された、佐野真一の渾身のノンフィクション。その文庫版をようやく読んだ。 本書の主役、題材であるダイ…

「整体入門」 野口晴哉著 

整体入門 (ちくま文庫)(2002/06)野口 晴哉商品詳細を見る評価★★★明治44年生まれ、相模原にある野口整体の創始者、故・野口晴哉(昭和51年没)が書いた、整体の入門書。1967年刊行。健康とは病気を直すことではなく、身体を直すこと、なんつうか、人…

映画「新世紀エヴァンゲリヲン新劇場版・破」 庵野秀明監督

評価★★★ 95年頃から放映されていたテレビアニメの劇場版。劇場版はテレビシリーズが終わって何度か上映されており、ワタクシは97年頃、その最初の作品となる「シト新生」だけ観ている。 あらすじは言うまでもないけど、念のため書くと、 近い未来の地球…

映画 クリーン」

評価★★★★ 青山のイメージフォーラムで観た、2004年仏・英・カナダ映画。フランス人監督、オリヴィエ・アサイヤスの作品で、彼の前妻マギー・チャンが主演。マギー・チャンはジャッキー・チェンの「ポリスストーリー香港国際警察」に出てたらしいが、うー…

投資入門 「なぜ投資のプロはサルに負けるのか」 藤沢和希

なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方(2006/12/08)藤沢 数希商品詳細を見る評価★★★★ 科学者から外資系投資銀行のクオンツ(研究者)に転身し、金融工学を駆使してトレーターのために計量モデルを研究…

「経済ってそういうことだったのか会議」 佐藤雅彦、竹中平蔵

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)(2002/09)佐藤 雅彦竹中 平蔵商品詳細を見る評価★★★ もう10年近くも前の本。「ドンタコス」「バザールでゴザール」のコピーライター佐藤雅彦が生徒役、経済学者の竹中平蔵が先生役に扮し、経済の…

小説 「邪宗門」  高橋和巳著

邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)(1993/06)高橋 和巳商品詳細を見る評価★★★★★ 1931年生まれ、京大助教授時代に全共闘運動に参加、71年に39才で病死した小説家の血と汗の結集、集大成ともいえる小説。しかし残念ながらすでに絶版、古本屋でプレミア付きで…

映画 「それでも恋するバルセロナ」 

評価 ★★★★ 生粋のニューヨークっ子、ウッディ・アレン監督の最新作。 今回も、同じニューヨークっ子、スカーレット・ヨハンソンのこと(一部ではスカジョというらしいw)が出ている。彼女のことはもう5年くらい前だろうか、東京を舞台にしたソフィア・コッ…

小説 「運命の人」  山崎豊子著

運命の人(四)(2009/06/25)山崎 豊子商品詳細を見る評価★★ 月刊誌「文藝春秋」に05年1月から09年2月までの5年にわたり連載された、山崎豊子の最新作。1972年の沖縄返還における日米間の密約を知った元毎日新聞記者が(外務省女性事務官との不倫を含む…

映画 「愛を読むひと」 

評価★★★★ 95年か96年頃だったかなあ、日本でもヒットしたベルンハルト・シュリンクの小説「朗読者」を映画化したもの。その原作、ワタクシも読んでいるはずなのに内容をまったく思い出せず、記憶を呼びさまそうとチケットを買った。 1958年、ドイツ。裕…

対談本 「出家の覚悟−日本を救う仏教からのアプローチ」  南直哉、 スマナサーラ長老

評価★★★★★ 決してワタクシは出家したいわけではないw。仏教や東洋哲学に一般的な興味はあるが、仏門に入って剃髪し、一生独身でいたいとは思わない。本書は「出家の覚悟」なんつう強烈なタイトルがついているが、単に二人の仏教家の対談をまとめた本である。…

映画 「ディア・ドクター」  西川美和監督作

評価★★★★ 前作「ゆれる」で、兄弟間の表面上の睦まじさの陰にある嫉妬を主題に鋭く人間心理を描いて話題をさらった若干35才(たしか1974年生まれ)の女流監督、西川美和の最新作。今回は、住民の半分以上が高齢者という、田舎というよりも僻地を舞台に…

評論 「日本の難点」  宮台真司著

日本の難点 (幻冬舎新書)(2009/04)宮台 真司商品詳細を見る評価★★★★★ 日本でいまや最も有名な社会学者だろう、宮台真司の最新作。宮台真司といえば、援助交際が世間をにぎわせた95年頃、人をバカにしたような物言いで大勢の知識人をバッタバッタぶった切り…

「未来を予見する5つの法則」  田坂広志著

未来を予見する「5つの法則」(2008/09/19)田坂 広志商品詳細を見る評価 ★ で、次に読んだのが、この本。 この本にいたっては、第1章から第6章までのうち、第1ー5章が下にレビューを書いた「使える弁証法」を体裁だけ変えて、ほぼ丸々焼き直ししたもので…

「使える弁証法」  田坂広志著

使える 弁証法(2005/11/25)田坂 広志商品詳細を見る★★ あるネット番組でヘーゲルについて語る著者を知り、興味を抱いてアマゾンで著者の本を検索し、それらのレビューを眺めると、どれも高い評価。難しそうだからかじったこともないヘーゲル哲学について、少…

映画 「レスラー」  ダーレン・アレノフスキー監督

評価 ★★★★★ ミッキー・ロークといえば、懐かしさを覚える方も多いのではないだろうか。 ワタクシのような30代後半の人間にとり、彼といえば、女たらしのセックスシンボル。あるいは、その後、インチキボクシングで地位もカネも失ったバカ男優っていう印象。…

三笠文庫 「孫子の兵法」  守屋洋著

孫子の兵法―ライバルに勝つ知恵と戦略 (知的生きかた文庫)(1984/10)守屋 洋商品詳細を見る評価★★★★ナポレオンも石原莞爾も読んで研究したとされる、実戦論における古典中の古典、「孫子」。今から2500年も昔、およそ紀元前5世紀の中国春秋時代の兵法家…

評論 「うつからの脱出―プチ認知療法で自信回復作戦」 下園壮太著

うつからの脱出―プチ認知療法で「自信回復作戦」(2004/05)下園 壮太商品詳細を見る評価 ★★★★★ Amazon.co.jpで、「うつ」というキーワードによって検索される和書の中で、最も評価が高い書籍(09年5月現在)。圧倒的に高い評価。実際、私も読み始めてすぐ…

映画 「レイチェルの結婚」  ジョナサン・デミ監督作

評価★★★★ 「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミの最新作。主演は「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイ。 ストーリーは、アン・ハサウェイ演じる主人公キムが、麻薬依存症患者の更正施設から9カ月ぶりに家族のいる実家に帰宅するシーンから始まる。帰宅し…