「整体入門」 野口晴哉著 

整体入門 (ちくま文庫)整体入門 (ちくま文庫)
(2002/06)
野口 晴哉

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評価★★★

明治44年生まれ、相模原にある野口整体創始者、故・野口晴哉(昭和51年没)が書いた、整体の入門書。1967年刊行。健康とは病気を直すことではなく、身体を直すこと、なんつうか、人間の身体に潜在する自己治癒力を高めることであり、その方法が整体であるとする、彼の哲学、そしてその実践方法(運動の仕方)が書かれた本。

 この人物を知ったのは、伊豆の断食道場で有名な、石原なんとかっていう医師が出ていたインターネット対談であった。その際の対談相手であった学者の夫人が、歩くこともままならない状態のヘルニアに悩まされ、薦められた野口整体に藁にもすがる思いでったところ、治療初日、腰ではなく頭を触っただけなのに、夫人は歩いて帰ることができたという。学者はそのとき、何かただならぬことが起きていると感じたそうだ。事実、数ヶ月でヘルニアの痛みは直り、レントゲンを撮ると、でっぱっていた骨もなんと元に戻っていたというのだ。ちなみに、その学者、その後、頭部にできた良性の腫瘍も同整体に通うことで完治し、しかも同時に近視も治ったそうだ。対談を見聞きしていたオレ、若干の胡散臭さを禁じえなかったが、一方でいい意味で驚いてた。そしたら、対談に出てた断食道場の医者までも、東洋医学の有効性について言及。いわく、「東洋医学は水と血と気の流れを重視する。気というと目に見えないからオカルトみたいに扱われているが、ケータイは目にみえない電気が空気中に流れているために使用できる。事実、逆子を『気』で直す先生もいる」みたいな話だったと思う。で。オレ、早速、ネットでググって調べたところ、本書にぶち当たった。

 さてその本書、はじめに著者は語る。世の中には火事場のクソ力の話って、結構みちあふれているんだけどさ〜、なぜ人はそんな力を出せるんかね〜。いやいや、人間は本来、そうした力を持っているんだよ。表面に現れている体力だけが体力ではないんだよ、潜在的な体力も体力なんあだ。そうした力を呼びおこすことが健康っつうもんなんだよ。かいつまんで言うと、こんな感じ。

 彼の言う、人間の自然の力には、「泣く」ことも「怒る」ことも入るそうだ。「あくび」することも、「屁」を出すことも、「下痢」も「湿」疹も発熱もみな、体がバランスを保とうとしているための無意識の力だそう。そうして、体の自然な要求に従い、快の方向に向かっていれば健康体になる。とはいえ、人間の要求にはひとりひとり違いがあって、その結果、体には癖が生まれる(=それを彼は「体癖」と呼ぶ)。風邪を引けば咳がとまらない人がいる一方で、下痢をする人もある。重い物を持てば、肩に力を集める人と腰に集める人がいる。疲れには偏りがあり、同じ仕事をしていても疲れ方が違う。だから、それを日々の体操(=彼はこれを「活元運動」と呼ぶが、これこそ彼の「整体」であろう)によって改善し、体のもつ本来の機能、活力を取り戻すべきであると言う。

実に、滋味深い内容なんだよ。っていっても、オカルトみたいだから、誰も興味持たないんだろうけどw。