2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

社会科学「金枝篇」 ジェームズ・フレイザー  2(2008.5.20読了)

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)(2003/01)ジェイムズ・ジョージ フレイザー商品詳細を見る評価★★★★ 1890年に刊行された初版2巻本。比較宗教学研究の大学教授が書いた論文。一般普及を目的に実例を多く削除した岩波文庫の簡約版ではなく、ちくま文庫…

バスカヴィル家の犬  コナン・ドイル (2008.5.18)

バスカヴィル家の犬 (光文社文庫 ト 2-7 新訳シャーロック・ホームズ全集)(2007/07)アーサー・コナン・ドイル商品詳細を見る評価★★★★ 短編の多いシャーロック・ホームズシリーズの中で、かなり人気の高い長編作品。エラリー・クインが選んだ世界探偵小説ベス…

小説「推定無罪」  スコット・トゥーロー  (2008.5.12)

推定無罪〈下〉 (文春文庫)(1991/02)上田 公子スコット・トゥロー商品詳細を見る評価★★★★ 1987年刊行で、ハリソン・フォード主演映画の原作。米国でいまも弁護士として働く著者が、検事補だった頃に書いた法廷ミステリ。当然、法律家として法廷の事情に詳し…

映画「さよなら、いつかわかること。」  (2008.5.4)

評価★★★★★ 監督はジェームズ・ストラウスという若き無名の新人、音楽をクリント・イーストウッドが担当している。 愛する妻が兵士としてイラクに従軍。寂しさを押し殺して2人の娘の育児にいそしむ夫のもとに突然、妻の戦死の報告が届く。あまりにも急な訃報…

社会科学「まぐれ−なぜ投資家は運を実力と勘違いするのか」  (2008.4.29読了)

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか(2008/02/01)ナシーム・ニコラス・タレブ商品詳細を見る評価★★★★★ アメリカでヘッジファンドを運営する確率論の大学教授が書いた、投資における「運」や「まぐれ」の要素を論じたエッセイ。内容は濃密で、先端…

映画「つぐない」  (2008.4.17)

評価★★★★ 07年イギリス映画。オースティン原作の「プライドと偏見」を撮ったジョー・ライト監督作。その作品でヒロインを演じた女優キーラ・ナイトレイが、当映画でも主役と思って観たら、そうではなく、主役はその妹役の少女であった。姉キーラは準主役で、…

映画「4ケ月、3週と2日」  (2008.4.5)

評価★★★ パっとしない俳優ばかりの東欧映画で、若い女性の中絶という重いテーマにもかかわらず、映画館に集う人の数は多く、レビューの評価もかなり高かった。07年カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作。ずっと気になっていた。 物語は1987年。…

人物評伝「プルタルコス英雄伝」  プルタルコス  (2008.3.30)

プルタルコス英雄伝〈上〉 (ちくま学芸文庫)(1996/08)プルタルコスPloutarchos商品詳細を見る評価★★★★★モンテーニュ、モンテスキュー、ルソー、シェークスピア、ゲーテ、ナポレオンを筆頭に、多くの歴史的偉人が愛読していたという、古典中の古典。今になっ…

映画「once ダブリンの街角で」  (2008.3.23)

ONCE ダブリンの街角で デラックス版(2008/05/23)グレン・ハンサードマルケタ・イルグロヴァ商品詳細を見る評価★★★★ 07年アイルランド映画。主演は、ザ・フレイムスのボーカル兼ギタリスト、監督はそのフレイムスで昔ベースを弾いていたアイルランド人。 舞…

映画「潜水服は蝶の夢を見る」   (2008.2.24)

潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】(2008/07/04)マチュー・アマルリックエマニュエル・セニエ商品詳細を見る評価★★★★★ 07年カンヌ映画祭監督賞作品。監督は「夜になる前に」「バスキア」のジュリアン・シュナーベル。 女性ファッション誌ELLE…

小説「北回帰線」 ヘンリー・ミラー (2008.2.20)

北回帰線 (新潮文庫)(1969/01)ヘンリー ミラー商品詳細を見る評価★★ 1891年ニューヨーク生まれの作家。生涯で5度結婚し、ほとんど定職に就かず創作活動にいそしんだ。自身の快楽主義的で破天荒な人生そのままに、あけすけで大胆な性描写、冷静で辛らつな人…

映画「ラスト、コーション」  (2008.2.20)

評価★★★ 「グリーン・ディスティニー」で一躍有名となった台湾人監督アン・リーの最新作。07年ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。原作は、1920年香港生まれの女流作家、アイリーン・チャンの小説「ラスト、コーション」という。ラストは色(欲望)、コーション…

小説「黒い時計の旅」 スティーブ・エリクソン (2008.2.11)

黒い時計の旅 (白水uブックス)(2005/08)スティーヴ エリクソン商品詳細を見る評価★★★★ 第二次世界大戦でドイツが負けず世界を支配し、ヒトラーがまだ生きていたらという幻の世界と、現実の20世紀が複雑に交錯する大作。断定的ではなく問いかけてくるようで…

エッセイ「国のない男」 カート・ヴォガネット (2008.2.5)

国のない男(2007/07/25)カート・ヴォネガット商品詳細を見る評価★★★ 「あれって何が楽しいんですか? フェラチオとゴルフ」 こんな素敵なw文章を書く小説家にもかかわらず、私はこれまで著者のことがあまり好きではなかった。正直言うと、私は『タイタンの…

小説「幼年期の終わり」 アーサー・クラーク  (2008.1.26)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)(2007/11/08)クラーク商品詳細を見る評価★★★★★ キューブリック映画「2001年宇宙の旅」の原作者で、アシモフ、ハインラインと並び3大SF作家の一人に称される著者の一大傑作。もともと1953年に刊行された小説を…

エッセイ「しなやかに生きるために」  ジッドウ・クリシュナムルティ  (2008.1.11)

しなやかに生きるために―若い女性への手紙(2005/11)ジッドゥ クリシュナムルティ商品詳細を見る評価★★ 著者は1895年、インドのバラモンの家に生まれる。14歳で神智学協会の指導者に見出され、キリストと仏陀の化身の乗り物と宣言される。その後、英国で修行…

映画「恋空」  (2008.1.7)

恋 空 スタンダード・エディション(2008/04/25)三浦春馬新垣結衣商品詳細を見る評価★ない恋がたどり着く、衝撃の結末 レビュー ケータイ小説として大ヒットした恋物語の映画化。ヒロインに新垣由衣、相手役の男に三浦春馬。 ケータイ小説は、読みにくい小さ…

映画「再会の街で」  (2007.12.30)

再会の街で(2008/06/25)ドン・チードルアダム・サンドラー商品詳細を見る評価★★ 舞台はニューヨーク。幸せな家庭をもつ歯科医、アラン(俳優ドン・チードル)が、2001年の米同時テロ以降音信不通になっていた大学時代のルームメイト、チャーリー(俳優アダム…

映画「いのちの食べかた」   (2007.12.21観賞)

評価★★★★★ イメージフォーラムで上映中の、12才以上じゃないと観ちゃいけない少しグロいドイツ映画。原題は“Our daily bread” 、つまり私らが日々口にしている食材、トマトやアスパラ、キャベツ、たまご、鶏・豚肉や牛肉に関するお話。どこでどう生産され…

エッセイ「生物と無生物のあいだ」 福岡伸一  (2007.12.8)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)(2007/05/18)福岡 伸一商品詳細を見る評価★★★ 分子生物学において最前線で研究を続ける福岡伸一・青山大学教授の書いた本。3年前に「もう牛を食べて安全か」という本を著し、狂牛病はまだそのほとんどが解明され…

自伝「反転−闇社会の守護神と呼ばれて」  田中森一  (2007.11.24)

反転―闇社会の守護神と呼ばれて(2007/06)田中 森一商品詳細を見る評価★★★★★ 元東京地検特捜部の敏腕検事として数々の実績を残した後、弁護士に転身、バブル時代の成金長者らの顧問を務め、世間には「闇社会の弁護士」とうたわれた著者が、自分の半生を伝記風…

エッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」  村上春樹  (2007.11.7)

走ることについて語るときに僕の語ること(2007/10/12)村上 春樹商品詳細を見る評価★★★ 物語ではない。タイトル通り、著者が『走ること』をテーマに様々なことを書きつづったエッセイ。何がきっかけで何の目的をもって走り始め、なぜ続いているのか、走ってい…

映画「サルバドールの朝」  (2007.10.8)

サルバドールの朝(2008/03/26)レオノール・ワトリングダニエル・ブリュール商品詳細を見る評価★★★ 1970年頃のスペイン・バルセロナ。主人公の青年、プッチは、受験勉強中に仲間をつくって反政府(反フランコ)主義に傾倒、活動にのめりこんで行く。ただ、活…

小説「Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)」  J.K.Rowling (2007.10.8読了)

Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)(UK) Adult Edition(2007/07/21)J.K. Rowling商品詳細を見る評価★★★★ ハリポタシリーズの最終巻、2カ月かかって、ようやく読み終わりました。 正直、物語の最後、興奮が頂点に達するはずのクライマッ…

社会評論「マングローブ」  西岡研介 (2007.10.8)

マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実(2007/06/19)西岡 研介商品詳細を見る評価★★★ 昨年夏から最近まで「週刊現代」誌上に連載し大反響を呼んだ長期取材記事をまとめ、それに大幅加筆した上で刊行した本。 著者は今や日本を代表するジャーナ…

小説「夏への扉」  ロバート・ハインライン (2007.9.28)

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))(1979/05)ロバート・A・ハインライン福島 正実商品詳細を見る評価★★★★★ アイザック・アシモフ、アーサー・クラークと並び称されるSF小説界の巨匠ロバート・ハインライン(故人)の、中でも最高傑作と評される作品。マイミ…

映画「インランド・エンパイア」  (2007.9.14観賞)

インランド・エンパイア 通常版(2008/02/22)ローラ・ダーンジェレミー・アイアンズ商品詳細を見る評価★★★★★ ケン・ローチと並んで大好きな映画監督であるデビッド・リンチの最新作。リンチ作品は、大学生の時(約12年前)に「ツインピークス」にハマって以来…

映画「フリーダム・ライターズ」  (2007.8.13)

フリーダム・ライターズ スペシャル・コレクターズ・エディション(2007/11/02)ヒラリー・スワンク.スコット・グレン.パトリック・デンプシー.イメルダ・スタウントン.マリオ.エイプリル・ヘルナンデス商品詳細を見る評価★★ 1994年のロサンゼルス。白人から黒…

「饗宴」  プラトン  (2007.7.18読了)

饗宴 (岩波文庫)(1965/01)プラトン商品詳細を見る評価★★★★★古代ギリシャの哲学者プラトンが、師匠ソクラテスらが参加した宴会の様子をつづったもの。とは言ってもドキュメントというよりも、まるで戯曲。かなりの部分はプラトンの創作なのだろう。 宴会には…

社会科学書「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」 水野邦夫 (2007.7.5)

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