映画「恋空」  (2008.1.7)

恋 空 スタンダード・エディション恋 空 スタンダード・エディション
(2008/04/25)
三浦春馬新垣結衣

商品詳細を見る

評価★

ない恋がたどり着く、衝撃の結末
レビュー  ケータイ小説として大ヒットした恋物語の映画化。ヒロインに新垣由衣、相手役の男に三浦春馬
 
 ケータイ小説は、読みにくい小さな画面と限られた文字数の中で、読者を魅了させていく必要があるため、暴力・死・病気など刺激的な事象をドタバタ的に並べ立てていく、いわゆるジェットコースター型ストーリーになりがちだと言われるが、この映画のストーリーも同じだった。出会い、セックス、レイプ、妊娠、別離、別の男性との出会い、不治の病気の発現、モトサヤへの戻り、そして死−といったイベントを並べただけの、安直な物語だ。通常、それらの事件(悲劇)は、そのひとつひとつに人と人との濃密な愛憎があり、原因や過程、その後の様子といった、まつわりや関係性が付随してくる。それらを語らなければ、作品の物語性が希薄となり、観るものが内容にアイデンティファイできなくなる。まして、シンパシーなんて得られなくなると思うんだ。なのに、この映画には、悲劇的な事実(結果)=モノしかない。モノにまつわる関係性がない。つまり、文学性がない。ってか、ハッキリ言って、物語表現のレベルが衰弱している。だから、これを観たオトナ(評論家たち)がこぞって「文学の衰退」とか「こんな映画を観て育っていく若者がかわいそうだ」「観て泣いてる若者のアタマが理解できない」というのも、正直うなづけるところがある。
  
 ただ、主人公の二人はハマリ役だと思った。新垣由衣はどのシーンを切り取ってもみんなとってもかわいいし、「恋がすべて」の高校生を自然に演じている。相手役の三浦春馬も、いまどきの若手俳優には珍しく野太い感じで存在感を感じる。二人の熱演は、ストーリーの最低さに比べて対照的にすがすがしいものだった。