エッセイ「しなやかに生きるために」  ジッドウ・クリシュナムルティ  (2008.1.11)

しなやかに生きるために―若い女性への手紙しなやかに生きるために―若い女性への手紙
(2005/11)
ジッドゥ クリシュナムルティ

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評価★★

 著者は1895年、インドのバラモンの家に生まれる。14歳で神智学協会の指導者に見出され、キリストと仏陀の化身の乗り物と宣言される。その後、英国で修行を積んで1921年インドに帰国、星の教団の指導者となる。しかし同29年、「真理は組織化しえない。すべての宗教的、心理的、政治的権威は真理を見るための妨げとなる」として教団を解散。「私の関心は唯一、人間を絶対的に無条件に自由にすることだ」と言って世界中で講演活動に勤しんだ人。1986年に他界。20世紀最高の覚者の1人であるとする声も多い。

 この本は、そうしたクリシュナムルティの許に心も体も傷ついて訪れた一女性に対し、クリシュナムルティが宛てた手紙をまとめたもの。書簡集ともあって、非常に難解とされるクリシュナムルティの著作の中では、かなり平易。しかも短いので、すんなり読める。
 
 内容は、特に何かを覚醒させてくれるような啓蒙的な、スピリチャルなものではなく、我々がこれまでの人生の中で迷い、苦悩してきた経験を通して、そうすべきだと学習してきたことを、改めて確認させてくれるものであった。ただ、読んだ私は男性であり、この本はタイトル通り、「若い女性への手紙」。女性、ことに20代後半から30代の女性の方がはるかに共感を得やすいだろう。