2011-01-01から1年間の記事一覧

「料理の四面体」 玉村豊男著

料理の四面体 (中公文庫)(2010/02)玉村 豊男商品詳細を見る評価★★★ 面白いというよりも、私のような、料理を長年作り続けているのにレパートリーは増えないし、さっぱり上手にならないと感じている諸氏にぴったり、とっても参考になる良書である。まず、なぜ…

映画「恋の罪」 園子温監督作

評価★★★ 「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」とミニシアター系ながらもヒット作を飛ばし、宮台真司に言わせれば「現代の寺山修司」と絶賛の評価を受けている園子温の最新作。映画関係者の評価も高く、これは観ておかないとならないな、と半ば義務感をもって観…

映画 「50/50 フィフティフィフティ」

評価★★★★「(500日)のサマー」の主人公役を務めたジョセフ・ゴードン=レビットが主演。「(500日)のサマー」とはあらすじこそ違えど、テンポや展開はとても似ている。同じ監督ではないかと思うくらい。 酒もタバコもやらずラジオ局で真面目に働き、画家の…

映画 「マネーボール」

評価★★★★ 2002年頃のメジャーリーグ、オークランド・アスレチックス。そこのゼネラルマネージャー(GM)に雇われた元メジャーリーガー、ビリー・ビーンの半生を描いたもの。主人公ビリー・ビーンは、独自の「マネーボール」理論を追求し、弱小球団を再建…

映画 「僕たちのバイシクルロード」

評価★★ 2005年、いとこ兄弟のイギリス人学生2人が、ツーリングバイクにまたがり、英ブルックファームを出発、世界7大陸走破の旅行に試みる、その900日を記録した映画。 英仏海峡フェリーにのってフランスに向かい、飛行機に乗らずに欧州大陸・ユー…

「得する生活」 橘玲著

得する生活―お金持ちになる人の考え方(2003/12/01)橘 玲商品詳細を見る評価★★★★ 得する生活 橘玲著 幻冬舎 金融界隈ではちょっと有名な橘玲の実用書。知ってちょっと得する生活の知恵なんてレベルじゃない、知ってないと逆に損をするくらいに有用な本。特に…

映画 「サウダーヂ」 富田克之監督作

評価★★★★★2011年富田克也監督作。山梨県甲府市。甲府市は90年代前半以降、急速に外国人労働者、特に日系人ならば日本人と同じように居住等の権利が与えられるブラジル人の出稼ぎが増え、静岡の浜松や群馬の太田のような地方都市に様変わりしている。もと…

映画 「猿の惑星 ジェネシス」 

評価★ 1968年のフランス映画「猿の惑星」(同名の原作小説より脚本化)以来、何度か続編が描かれてきた「猿の惑星」シリーズの最新版。 今回は、製薬企業のジェネシス社の青年研究者で、アルツハイマーに冒された父を持つ主人公(ジェームズ・フランコ)…

ハーレクインロマンス 「偽りのハッピーエンド」 ジェニー・ルーカス著

偽りのハッピーエンド (ハーレクイン・ロマンス)(2009/07)ジェニー ルーカス商品詳細を見る評価★ 2009年7月刊行。 ツイッターで「ハーレクインの秘書モノがすばらしい件について」っていうはてなブログhttp://anond.hatelabo.jp/20111019011833が話題になっ…

映画 「監督失格」 平野勝之監督作

評価★★★★★ 2011年の日本映画。AV監督の平野勝之が撮ったAVではない私小説的映画。90年代後半に妻を持ちながらも付き合っていたAV女優、林由美香と一緒に東京から出て北海道を回った自転車旅行の録画記録を中心に、交際が終わってからも2003年に彼女が服毒事…

東浩紀編集「思想地図β2ー震災以後」 コンテクチュア社刊 

思想地図β vol.2(2011/09/01)東浩紀、津田大介 他商品詳細を見る評価★★★★ 評論家で小説家の東浩紀(私と同学年)が編集長をつとめる雑誌「思想地図β」の第2号。今回は東日本大震災発生を受けてその編集スタイルを第1号のそれとは全面的に変更している。そ…

小説 「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 ジュノ・ディアス著

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)(2011/02)ジュノ ディアス商品詳細を見る評価★★★★★ 1968年ドミニカ生まれ、リョサとは違って白人系ではない著者が書いた、1930年から31年間ドミニカを恐怖支配した独裁者トルーヒョと彼…

映画 「ハリーポッターと死の秘宝 part2」

評価★★★ 最終回で、しかも評判がいいから観に行った。シリーズを観てないひとや原作を読んでないひとには理解できないだろう。なにせ原作をだいぶ前に読み、しかも英文で読んだために理解が中途半端だったわてくしにとっても最初はなんだか理解できなかった。…

映画 「ココリコ坂から」

評価★★ 宮崎駿の息子、宮崎吾郎の2作目。けっして評価は高くない中、あまり期待しないで観に行ったんだけど、それほど駄目ではなかった。 物語は1963年、東京オリンピックの前年。高度成長期を迎え、日本、そして日本人が元気で活発だった当時、高校生…

「魔女の鉄槌」  苫米地英人著

現代版 魔女の鉄槌(2011/06/22)苫米地英人商品詳細を見る評価★★★ 脳機能学者で雑誌「サイゾー」のオーナー、苫米地英人の新作。15世紀の大ベストセラーは聖書ではなく、1486年に刊行された「魔女に与える鉄槌」という、魔女を発見する手順と審問や拷問…

「津波と原発」  佐野眞一著

津波と原発(2011/06/17)佐野 眞一商品詳細を見る評価★★★ ノンフィクションの巨匠、佐野眞一の最新作。著者の作品はエッセイ等をのぞいてダイエー創業者中内功の実像に迫った長編しか読んだことはないが、取材への長い時間と膨大なエネルギーを費やして完成さ…

小説 「オラクル・ナイト」  ポール・オースター著

オラクル・ナイト(2010/09)ポール オースター商品詳細を見る評価★★★ 2010年9月新潮社より刊行(米国では2003年に出版)。翻訳者は、もちろオースターゆえに柴田元幸。新丸子のバー「rufus」の常連客のはなえちゃんに借してもらった。バーで渡されて、「ああ…

小説 「涼宮ハルヒの消失」 谷川流著

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)(2004/07)谷川 流商品詳細を見る評価★★★ いま若者に人気の大ヒット小説といえば、「涼宮ハルヒ」シリーズである。2010年冬までのシリーズ累計発行部数は650万部、テレビアニメ化もされており、今や飛ぶ鳥を落とす…

映画 「見えないほどの遠くの空を」 榎本憲男監督

評価★★★★ ツイッター上で存在を知り、渋谷に映画論の講義を聴きに行ったこともあるシナリオライター、榎本憲男さんの初監督作品。有名な俳優もおらずロケ場所も少なく、登場人物の会話を軸にした低予算の自主製作映画で、予算はびっくりするなかれ、300万…

映画 「127時間」 ダニー・ボイル監督

評価★★ 米アカデミー作品賞作品「スワムドッグ&ミリオネア」を撮ったダニー・ボイルの最新作。登山中の事故で手を岩に挟まれて生死の境目をさまよった登山家のノンフィクションを原作に迫力あるエンターテイメント風に仕上げたノンフィクションドラマ。主役…

「なぜ社員10人でもわかりあえないのか」 日経BP編集部

なぜ、社員10人でもわかり合えないのか(2011/04/18)日経トップリーダー商品詳細を見る評価★★★ 岡田斗司夫がツイッター上の読書会の題材として取上げていた本。埼玉県川口市の鏡メーカー、コミーのマネジメント手法を取上げたビジネス書で、コミーは航空会…

「かぜの科学」 ジェニファー・アッカーマン著

かぜの科学―もっとも身近な病の生態(2011/02)ジェニファー アッカーマン商品詳細を見る評価★★★★ 風邪って、いつでもどこでもみかける一般的な病気で、しかも長期的に治療法が研究されているのに成果が上がらないのはなぜ? 風邪ひくと苦しいのに、人が死ぬと…

赤坂憲雄 「東北学」 講談社文庫

東北学 忘れられた東北 (講談社学術文庫)(2009/01/08)赤坂 憲雄商品詳細を見る評価★★★★★ 1953年生まれの58才、東北芸術工科大教授として長らく山形に住んだこともある著者。民俗学の中でも柳田國男同様に東北という田舎に的を絞り、「東北学」という言…

映画 「ブラックスワン」 ダレン・アレノフスキー監督作

評価★★★★★ 1969年生まれで「π」「レスラー」とエッジの効いた作品で注目を集めてきた若手監督、ダーレン・アロノフスキーの話題の最新作。主演のナタリー・ポートマンはこの作品でアカデミー主演女優賞を獲得している。 ニューヨークシティ・バレエ団の…

「アルコール―少量飲酒習慣から健康障害が始まる」 ハンス・H. コルンフーバー著

アルコール―少量飲酒習慣から健康障害が始まる(2004/01)ハンス・H. コルンフーバー商品詳細を見る評価★★★★ メキシコ奥地の走る民族「タマウラナ族」とのウルトラマラソンの描いた「Born to Run」のNHK出版がtwitterで大絶賛していたので買った本。ただし…

小説 「レンブラントの帽子」 バーナード・マラマッド著

レンブラントの帽子(2010/05)不明商品詳細を見る評価★★★ 2010年5月夏葉社より刊行。アメリカのユダヤ系作家、バーナード・マラマッド(1914−1986)が1973年に買いた7作の短編集から更に佳作を絞って改めて刊行したもので、7作の短編集は…

映画 「わたしを離さないで」 

評価★★★★★ 原作を読んでいたつもりのまま映画を観た。どのシーンを観ても筋が思い出せず、うちに帰ってmixiを含めて自分が書いてあるだろうレビューを探したが、見つからず、そこでようやく実は読んでなかったのかと気付いた。記憶を勘違いするほど、私もも…

映画 「ブルーバレンタイン」

評価★★ 2010年米映画。アメリカ、ニューヨーク。舞台は、ペンキ塗装工として働く子煩悩な父親(ライアン・ゴスリング)と若干倦怠期に入っているかのように日々疲れた表情の元女医の妻(ミシェル・ウイリアムズ)、そして何も知らずに無邪気に遊ぶ幼き娘…

「無駄な抵抗はよせはよせ」 日垣隆著

「無駄な抵抗はよせ」はよせ (WAC BUNKO)(2009/06/19)日垣 隆商品詳細を見る評価★★★ 事故で脳を損傷しても、老いて視力が落ちても、心を病んで元気をなくしても、ちょっとした努力で回復することもあるということをテーマに、最新の脳科学、ストレス医学、ダ…

3.11後の原発論議についての雑感

これまでの情報を整理しての現時点での私の考えを書きます。ど素人ですから間違い、見込み違いがあれば指摘ください。 ISEPの飯田哲也氏と同じく今後10年くらいのうちに自然エネルギー等の活用で原発の電力供給比率を10%程度に下げられそうな気がする。…