2008-01-01から1年間の記事一覧

 「ガリア戦記」  ユリウス・カエサル著 

ガリア戦記 (講談社学術文庫)(1994/05)G.J. カエサル商品詳細を見る評価★★★★★ 共和制ローマ時代の将軍にして政治家、ディクタトル(独裁者)、ユリウス・カエサルが書いた、自身のガリア戦争の記録。カエサルといえば。いまの太陽暦の基となるユリウス暦をつ…

光文社新書 「すべての経済はバブルに通じる」 小幡績 著

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) (光文社新書)(2008/08/12)小幡績商品詳細を見る評価★★★★ 新書だからといって侮るなかれ。東大経済学部を首席卒業し、大蔵官僚を経て学者となった若き秀才が書いた、今回の金融不況への理解が進む良書。といっ…

ノンフィクション 「銃・病原菌・鉄」 ジャレンド・ダイアモンド著

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎(2000/09)ジャレド ダイアモンド商品詳細を見る評価★★★★★ 米国の地理学者、ジャレド・ディアモンドが書いた、25年の月日と精力をかけて健筆ふるった人類学書。ピューリツァー賞受賞作。誇張すれば、フ…

ノンフィクション 「超人類へ!   バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会」  ラメズ・ナム著 

超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会(2006/11/11)ラメズ・ナム商品詳細を見る評価★★★★ マイクロソフトの開発技術者で、バイオやナノテクにも通暁する若きオピニオンリーダーが、最新のバイオ医学や遺伝子工学、脳機能学について書いた…

映画 「その土曜日、7時58分」   シドニー・ルメット監督作

評価★★ 「カポーティ」のシドニー・ルメット監督作。同作で主人公のトルーマン・カポーティ役を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンが今回も主役、強盗を実行した兄弟の兄役を演じている。カポーティで見せた威風そのまま、今回も他を圧倒する存在感で怪演…

小説 「野性の呼び声」  ジャック・ロンドン著

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫 Aロ 2-1)(2007/09/06)ロンドン商品詳細を見る評価★★★★ 「ピンクの象が見える」ーードラッグをきめた時に見える著名な幻覚の一つ。中島らもの小説などによく出てくる表現だが、それを最初に紹介したのが実は本書の著者、ジ…

短編集 「大聖堂」 レイモンド・カーヴァー

大聖堂 (村上春樹翻訳ライブラリー c- 4)(2007/03)レイモンド・カーヴァー商品詳細を見る評価★★★★★ レイモンド・カーヴァーの書いた作品の中でも随一と呼び声の高い短編小説集。全12作品を収載。確かにいずれも秀逸で、村上春樹ファンなら当然、近代アメリ…

経済書 「大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか」 中央経済社

大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか(2005/01)R.E. パーカー商品詳細を見る評価★★★★ 内容は経済学、小難しくて頭痛くなるから買ってはいても読まずにツンドク状態だった本。でも、先月半ばからずっと「恐慌」に関する経済書というか、ビジネス書を2冊立…

映画 「イントゥ・ザ・ワイルド」  ショーン

評価★★★★ メチャ美しい自然をバックに、若者の葛藤を描くロードムービー。 1990年頃、裕福な家庭に育ち大学を卒業したばかりの若きエリートが、突然に家を飛び出し、放浪旅行の末、アラスカの大自然の奥地で衰弱死した事件が発生。いったい若者は、何を…

社会評論 「ジャーナリズム性悪説」 バルザック著

ジャーナリズム性悪説 (ちくま文庫)(1997/12)バルザック鹿島 茂商品詳細を見る評価★★★★ 1843年刊行の、オノール・ド・バルザックが書き記した、パリの政治ジャーナリズム批判、政治ジャーナリスト批判の本。 なにせ、長い人類史の中でも傑出した小説を何…

小説 「冷血」  トルーマン・カポーティ

冷血 (新潮文庫)(2006/06)トルーマン カポーティ商品詳細を見る評価★★★★★ 自らを「アル中でヤク中でホモの天才」と称し、1950年代の米国社交界の象徴的な華やかさを持った異能の作家、トルーマン・カポーティの代表作となるノンフィクションノベル。ノンフィ…

映画 「TOKYO!」 ミシェル・ゴンドリー、レオン・カラックス、ボン・ジュノ

評価★★★ ミシェル・ゴンドリー、レオン・カラックス、ボン・ジュノの3人の巨匠がそれぞれに撮った3つの短編映画。共通したテーマはなく、関連性もない。単に東京を背景にして、それぞれの監督が自由に製作している。 個人的には、大学時代に観て美しき恋愛…

映画 「この自由な世界で 」  ケン・ローチ監督作 

評価★★★★ 私は10年ぐらい前、当映画の監督であるケン・ローチの作品、「レイニング・ストーンズ」に出会って衝撃を受けて以来、彼の作品を見続けてきた。たいていイギリスの低給労働者が主人公で、彼らの生活実像を物語にすることで社会のひずみを露とする、…

小説 「穴」  ルイス・サッカー著

穴 HOLES(2006/12/15)ルイス・ サッカー幸田 敦子商品詳細を見る★★ 多くの小説家や翻訳者らが面白いと評価している本。わたくし知らなかったけど、日本に登場した1998年頃はかなりの注目を浴び、実際に店頭で山積み展開され、大きく売れた本だったんだっ…

小説「可笑しな愛」 ミラン・クンデラ

可笑しい愛 (集英社文庫)(2003/09)ミラン クンデラ商品詳細を見る評価★★★★★ ミラン・クンデラ唯一の短編集。クンデラの作品はどれも素晴らしい。大好きだ。 知性をベースにした皮肉的な言葉や調子、そしてそれら皮肉的な言葉や調子と表裏一体となっているユ…

小説「武器よ さらば」 

武器よさらば(下) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-2)(2007/08)ヘミングウェイ商品詳細を見る評価★★★★ 本書は、第一次世界大戦の只中、イタリア軍に志願兵として参加したアメリカ人の青年ヘンリーが、北イタリア国境付近の戦線で出会ったイギリス人看護婦と恋に落…

小説「母なる夜」

母なる夜 (白水Uブックス (56))(1984/01)カート・ヴォネガット池澤 夏樹商品詳細を見る評価★★★★★ カート・ヴォネガットの作品を読むは確か3冊目だと思う。「第2次世界大戦中、ナチスドイツの対外向け宣伝放送を担当させられていたドイツ在住のアメリカ人が…

映画「近距離恋愛」 

評価★★★ 原題は”Maid of honor"(花嫁の付添い人)のラブコメディ。 2夜連続で同じ女性とはベッドを共にしないスタイルを貫く好色家だが、常に自分の気持ちを誰にでも正直に伝えることのできる主人公トム。彼には、そんな自分を理解してくれる10年来の親友…

戯曲「欲望という名の電車に乗って」(テネシー・ウイリアムズ著)

欲望という名の電車(2005/08)テネシー ウィリアムズ商品詳細を見る評価★★ 1911年米国生まれの劇作家、テネシー・ウイリアムズの代表作。1947年刊行。 これまで読んだことがなくて、もう7年ほど前だろうか、作品の舞台であるニューオリンズに旅行し…

エッセイ「とらちゃん的日常」 中島らも著

とらちゃん的日常 (文春文庫)(2004/07)中島 らも商品詳細を見る評価★★★ 中島らもが初めて買った猫、それはそれはカワイイ愛猫「とらちゃん」について、いつもの調子で語ったエッセイ。 著者は、とても凡人とは思えない想像力をもち、その陰でとても論理だっ…

映画「コレラの時代の愛」  

評価 ★★★ 昨日、九段会館に映画「コレラの時代の愛」の試写会に行って来た。 原作はコロンビア生まれのノーベル文学賞作家、ガルシア・マルケスの同名作品。その原作は未読だが、たいそう素晴らしいらしく、以前に会社の上司が絶賛していたこともあって、そ…

小説「ロリータ」    08.7.21読了

ロリータ (新潮文庫)(2006/10)ウラジーミル ナボコフ商品詳細を見る評価★★★★★ ロリコン(ロリータ・コンプレックス)という、性的嗜好の対象を少女とする、いわゆる小児性愛者を指す言葉の由来となった恋愛小説。帝政ロシア時代のロシアに生まれたナボコフ(…

映画「イースタン・プロミス」  08.7.7

評価★★★★★ 気色悪いハエ映画「ザ・フライ」で有名なデヴィッド・クローネンバーグ監督が撮ったロシアン・マフィアの映画。「仁義なき戦い」と「ゴッドファーザー」の中間みたいな風合い。同監督の前作で主役を演じたヴィゴ・モーテンセンが今回も主役を快演…

戯曲「夜の来訪者」  プリーストリー著 岩波文庫

夜の来訪者 (岩波文庫 赤 294-1)(2007/02)プリーストリー商品詳細を見る評価★★★ イギリス人の劇作家プリーストリー(1894―1984)が書いた著名な戯曲(らしい。知らなかったw)。1947年刊行で、原題は”An Inspector Calls”。 あるイギリスの裕福な工場経営者…

週末、写真家の森山大道の個展を観に行ってきた。6月29日まで東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)でやっている。 彼の写真を知ったのは大学卒業後の12〜13年前。写真家といえば地元の英雄、土門拳かアラーキー程度しか知らない頃で、当時、…

社会科学「金枝篇」 ジェームズ・フレイザー  2(2008.5.20読了)

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)(2003/01)ジェイムズ・ジョージ フレイザー商品詳細を見る評価★★★★ 1890年に刊行された初版2巻本。比較宗教学研究の大学教授が書いた論文。一般普及を目的に実例を多く削除した岩波文庫の簡約版ではなく、ちくま文庫…

バスカヴィル家の犬  コナン・ドイル (2008.5.18)

バスカヴィル家の犬 (光文社文庫 ト 2-7 新訳シャーロック・ホームズ全集)(2007/07)アーサー・コナン・ドイル商品詳細を見る評価★★★★ 短編の多いシャーロック・ホームズシリーズの中で、かなり人気の高い長編作品。エラリー・クインが選んだ世界探偵小説ベス…

小説「推定無罪」  スコット・トゥーロー  (2008.5.12)

推定無罪〈下〉 (文春文庫)(1991/02)上田 公子スコット・トゥロー商品詳細を見る評価★★★★ 1987年刊行で、ハリソン・フォード主演映画の原作。米国でいまも弁護士として働く著者が、検事補だった頃に書いた法廷ミステリ。当然、法律家として法廷の事情に詳し…

映画「さよなら、いつかわかること。」  (2008.5.4)

評価★★★★★ 監督はジェームズ・ストラウスという若き無名の新人、音楽をクリント・イーストウッドが担当している。 愛する妻が兵士としてイラクに従軍。寂しさを押し殺して2人の娘の育児にいそしむ夫のもとに突然、妻の戦死の報告が届く。あまりにも急な訃報…

社会科学「まぐれ−なぜ投資家は運を実力と勘違いするのか」  (2008.4.29読了)

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか(2008/02/01)ナシーム・ニコラス・タレブ商品詳細を見る評価★★★★★ アメリカでヘッジファンドを運営する確率論の大学教授が書いた、投資における「運」や「まぐれ」の要素を論じたエッセイ。内容は濃密で、先端…