バスカヴィル家の犬  コナン・ドイル (2008.5.18)

バスカヴィル家の犬 (光文社文庫 ト 2-7 新訳シャーロック・ホームズ全集)バスカヴィル家の犬 (光文社文庫 ト 2-7 新訳シャーロック・ホームズ全集)
(2007/07)
アーサー・コナン・ドイル

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評価★★★★

  短編の多いシャーロック・ホームズシリーズの中で、かなり人気の高い長編作品。エラリー・クインが選んだ世界探偵小説ベストテンの中にも選ばれている。1901年初刊。
 
 大自然が昔のままに残る西部イングランドの田舎村。そこで先日、その村の顔役とも言える名家、バスカヴィル家の老主人が奇妙な死を遂げた。死体の発見現場には巨大な犬の足跡があり、この頃は夜になると犬の鳴き声のような音も聞こえてくる。バスカヴィル家にはその昔、猛犬によって祖先が食い殺されたという逸話もあり、村民は不安を感じ始めている。そこにバスカヴィル家の遺産を継ぐ若く清廉な血縁者がやってきたのだが、彼の周りには脅迫めいた手紙が届き出す。調査の依頼を受けたホームズは、若い血縁者を付け狙う不審者が一人いることを発見する。ただ、その不審者を追いつめた瞬間、不審者は自らの名前をホームズだと言い残し、逃げおおせる。ホームズは、調査の先に豪胆で狡猾な人物がいることを知って色めきたつ。

 他のシリーズ作品とは違い、ストーリーはのっけから本格推理小説の様相を呈している。こんな風なホームズ作品を読みたかった。だって、ちょっと前に読んだ長編「四つの署名」に満足しえなかったからねw。読み進めると早々に惹き込まれ、スリルも十分に味わえる。「男はどんなになっても自分のために泣いてくれる女を一人だけは持つ。それを持たぬ男こそほんとの悪魔だろう」なんていいセリフも出てくる。おそらく熱烈なシャーロッキアン(英国ではホームジアン)でなくとも、かなり高い割合で満足できると思う。ただ、ワタクシ、この本読んだの二度目でした。読んでいたこと忘れていた。途中で思い出したw。