映画「再会の街で」  (2007.12.30)

再会の街で再会の街で
(2008/06/25)
ドン・チードルアダム・サンドラー

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評価★★
 舞台はニューヨーク。幸せな家庭をもつ歯科医、アラン(俳優ドン・チードル)が、2001年の米同時テロ以降音信不通になっていた大学時代のルームメイト、チャーリー(俳優アダム・サンドラー)を偶然発見、追いかけて再会を果たす。
 
 チャーリーは卒業後にアランと同じく歯科医となり、結婚して家族を得て順風な人生を送っていたが、2001年9月11日、愛する妻と娘が乗った飛行機がビルに衝突してからは、社会との交わりを絶っていた。アランは再会を祝すべく食事に誘ったのだが、あまりに変わってしまったチャーリーに驚く。お分かりだろう、チャーリーは家族を失ったショックで、強度のPTSD(=心的外傷後ストレス障害)に罹っていたのだ。9.11被害者に対する政府の多額の慰安金や生命保険の支払いがあり、生活には困らないが、仕事は持たず時折バーでドラムを叩き、街には趣味のレコード蒐集かコメディ映画観賞に出る程度。あとは家に引き籠り、ゲームに没頭する毎日。ようやく見付けた親友、なんとか立ち直って欲しいと、アランはチャーリーの社会復帰に心血そそぐ。

 実はわたくし、この映画を観る前、「今年の冬休み映画の中ではとても面白い映画だよ」と聞き及んでいた。加えて、「BGMの音楽がいいんだよ」とも聞いていた。なるほど確かに時折映像に奏でかけてくる音楽は、クライマックスのセンチメンタルなシーンに似つかわく、ともて印象的だ。まるで、サイモン&ガーファンクルサウンド・オブ・サイレンス」が強く心に残った、ダスティ・ホフマンの「卒業」みたいにね。音楽はプラターズやブルース・スプリングススティーンとか、70年代のアメリカ音楽で、好きな人にはたまらないだろうな。
 
 残念ながら登場人物の造形、特に主人公のチャーリーの造形が類型的で、人間的な魅力がない。アダム・サンドラーは著名なコメディアンだけに演技はすごくリアルで上手なんだろうけど、なんだか役よりも彼自身に魅力がないのでないかと邪推してしまうほどだ。ストーリーも画一的で、いまいち深みがない。ただし、物語の最後、チャーリーが立ち直りに向かうシーンは良かった。