小説「Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)」 J.K.Rowling (2007.10.8読了)
Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)(UK) Adult Edition (2007/07/21) J.K. Rowling 商品詳細を見る |
評価★★★★
ハリポタシリーズの最終巻、2カ月かかって、ようやく読み終わりました。
正直、物語の最後、興奮が頂点に達するはずのクライマックスは不満かな。ハリーの宿敵、ヴォルデモードを倒し世界を絶望から救うため、自らの命を賭してヴォルデモードとの戦いに挑む直前までは、非常にワクワクした。しかし、本当はハリーの味方で最後には重要な役所を演じてくれると信じていたスネイプが、いとも簡単に死ぬところあたりから違和感を覚え始め、仲間のルーピンやトンクスもいつの間にか絶命。肝心のヴォルデモードとの直接対決シーンを読み始めるも、描写が淡々とし過ぎていて迫力がない。あれほど魔法界で恐れられていたヴォルデモードが、自信過剰で他人の愛情を解さず、精神的に幼稚で、しかも何度も失敗を重ねる、愚鈍で弱々しい魔法使いになっちゃった。全7巻をかけてまで打倒すべき宿敵にふさわしい最期とは云えなかったと思う。
同様に、エピローグ「19年後」も淡白。ハリーは好きだった女の子と結婚。産まれた子供たちが自分たちの子供の頃と同じように期待と不安混じりに魔法学校に向かうシーンは、まさしく王道の微笑ましいエンディング。もちろん、予定調和もテレビの水戸黄門みたいでいいものだけど、書き方がどうも後から付け足したようで、平和な世の中を享受している喜びが伝わってこない。まるでハリーはそのうち家庭生活に飽き、再び冒険を始めに行くのではないかとも思ってしまう。う〜、少し画竜点睛を欠いた、って感じかなw。
でも、もしかして、私の拙い英語力のせいで、正確に読解できなかっただけかも知れない。やっぱ、来年?に出る静山社・松岡さんの日本語訳を読み直さないとダメかも。
何にしても、「ハリー・ポッター」をもう読めないことが、どんなに哀しいことか。毎回、出版を今か今かと待ち焦がれ、ようやく手にした瞬間の幸福感はもはや味わえない、ページを一枚一枚繰り、読み進めている時の陶然たる高揚感、読後の充実感も、これからは得られない。悲しいかな、サヨナラだけが人生と思って慰めるしかないなのだろう。