2009-01-01から1年間の記事一覧

新潮新書 「嫉妬の世界史」   山内昌之著

嫉妬の世界史 (新潮新書)(2004/11)山内 昌之商品詳細を見る評価★★人間の歴史は嫉妬の歴史だと言っても過言ではないほど、歴史はその場面場面が嫉妬の 糸が絡み合い、その後の運命が決定づけれているように思えてくる。例えば、関ヶ原の戦いは、秀吉の寵愛を…

映画 「グラン・トリノ」 クリント・ーストウッド監督作

評価★★★★ 舞台はアメリカ中西部、クリント・イーストウッド演じる主人公ウォルト・コワルスキーはかつて朝鮮戦争に従軍、現在は妻を亡くし一人切りで家事を切り盛りする老人、年老いて現代の退廃的ともいえるリベラル社会にうまく溶け込めない。人種差別発言…

新書 「うつを治す」 大野裕著

「うつ」を治す (PHP新書)(2000/04)大野 裕商品詳細を見る評価★★★ 「人生は、すべからく運です」 ―― これは、とある取材先の会社の社長の言葉である。東大、日銀を経て日債銀の頭取にまで上り詰めた元エリートである彼は、われわれ木っ端の業界紙記者にも偉…

映画 「スラムドッグ$ミリオネア」 

評価★★★★★ 「トレイン・スポッティング」「28日後...」 のダニー・ボイル最新作。 ついこないだ米アカデミー賞を受賞した作品。とはいっても、過去、米国のハリウッド超大作が栄冠に輝いてきたアカデミー賞の歴史からすると、本作品はアカデミー賞に相…

小説 「リリィ、はちみつ色の夏」  スー・モンク・キッド著

リリィ、はちみつ色の夏(2005/06/18)スー・モンク・キッド商品詳細を見る評価 ★★★ 日比谷で「リリィ、はちみつ色の秘密」という、ほのぼのとして心地よい映画を観て、帰り際、映画館のカウンターに積んであった原作本をふと買ってしまった。 内容は、公民権…

新潮文庫 「夢判断」 ジークムント・フロイト

夢判断 上 新潮文庫 フ 7-1(1969/11)フロイト商品詳細を見る評価★★★ 貧しいユダヤ商家育ちの精神医学者、フロイトが、人が寝ている間に見る夢、その内容が暗示するものについて論考し、世間に衝撃を与えた本。長くて難しい。特に最後の章である「夢の作業」…

映画 「フロスト×ニクソン」 

評価★★★ 「バック・ドラフト」「アポロ13」などの大作で名高いロン・ハワードの最新作。観ようとは思ってなかったが、友人からなかなか面白いぞと言われたので、先週チネチッタに行って来た。 1977年、当時とっても人気のあったイギリス人のテレビ番組…

映画 「リリィ、はちみつ色の秘密」

評価★★★★★ 全米で500万部売れたベストセラー、「リリィ、はちみつ色の夏」、(原題は“The secret of life of bees)を映画化したもの。といっても、原作とはだいぶ違うらしいが、先般立ち読みした週刊文春の映画レビューで中野翠ら全員が高く評価しており…

小説 「バルタザールの遍歴」  佐藤亜紀

バルタザールの遍歴 (文春文庫)(2001/06)佐藤 亜紀商品詳細を見る評価 ★★★ 週に何度も頻繁に訪れるバーでたまに遭遇する女性から「ぜひ読んで見てくださいよ」と紹介された小説。 著者は佐藤亜紀。佐藤亜紀といえば、およそ10年前、今の会社に入って2年目ぐ…

映画  「シリアの花嫁」 

評価★★★ 1967年の第3次中東戦争以来、今なおイスラエル占領下にあるゴラン高原(国連ではシリア領であり、イスラエルだけが自国に併合したと主張している)。その高原の、あるイスラム系一派の住民が住む村から、ひとりの花嫁が出る。彼女は、シリアの首都…

映画 「チェンジリング」 クリント・イーストウッド監督作

評価★★★ チェンジリングとは日本語で「取り替え子」、もともとは北欧の民話にある、妖精が子供をさらい、代わりに残す醜い子供のことをいうらしい。そんなタイトルの映画である以上、映画のストーリーもタイトル同様にちょっと気色悪いミステリーとして展開…

評論 「プラトン哲学」  ジョン・バーネット 岩波文庫(絶版)

評価★★★ 生涯を哲学家プラトンの著作研究に捧げたというイギリスの硯学によるプラトン入門書。 入門書といっても論文調で、しかもすでに絶版書。漢字はどれも旧字、言い回しもひと時代前のもの。けっして読みやすいとは言いがたいが、内容は濃厚で読んでいて…

新書 「無宗教こそ日本人の宗教である」 島田裕巳

無宗教こそ日本人の宗教である (角川oneテーマ21)(2009/01/10)島田 裕巳商品詳細を見る評価★★★★ 08年の読売新聞調査によると、日本人の約7割が「自分は信仰を持たない」と答えたという。「信仰を持たない」、言葉を換えれば、「無宗教」である。オウム事件…

小説 「三四郎」  夏目漱石

三四郎 (新潮文庫)(1948/10)夏目 漱石商品詳細を見る評価★★★★★ 久しぶりに漱石でも読んでみようと駅の書店で手に取った。 熊本の高等学校を出て東京の大学に入学した主人公、小川三四郎と周囲の女性らが織りなす青春小説。彼は、東京に向かう汽車の中で出会…

ギリシャ喜劇 「女の平和」  アリストファネス著

女の平和 (岩波文庫 赤 108-7)評価★★★ 先日、ソポクレスのギリシャ悲劇にして古典中の古典、「オイディプス王」を読んだので、今度は喜劇にしようと思って、この本を手に取った。本作品は、古代ギリシャのアリストファネスの喜劇。別の喜劇「雲」等でソクラ…

岩波新書 「ソクラテス」 田中美知太郎著

ソクラテス (岩波新書)(1957/01)田中 美知太郎商品詳細を見る評価★★★ 過日、インターネットの討論番組を観ていたら、とある社会学者が、ソクラテスと初期ギリシャ哲学について熱く語っていた。曰く、「初期ギリシャ哲学は様々な自然を源とする(アミニズム的…

映画 「PARIS(パリ)」      セドリック・クラピッシュ監督作

評価★★ 同じ監督の手になる「スパニッシュアパートメント」「ロシアンドールズ」で同じく主人公を演じたロマン・デュリスが、今回も主人公を演じている。彼はパリ社交界の狭き門、ムーランルージュのダンサーで、これから活躍しようと思っていた矢先に心臓病…

評論 「日本の10大新宗教」 島田裕巳著

日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)(2007/11)島田 裕巳商品詳細を見る評価★★★ オウム真理教事件の際、それまでオウムに擁護的だったと批判を受けたことで長らく活動を抑制していた著名宗教学者、島田裕巳が書いた、現代新宗教(新興宗教)の入門書。 10大新宗教…

自伝 「福翁自伝」  福沢諭吉著   岩波文庫

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)(1978/01)福沢 諭吉富田 正文商品詳細を見る評価★★★★★ 1897年(明治31年)、開国の思想家、福沢諭吉が65歳の時に著した自伝。弟子に向かって口述したものを速記させて刊行。年末に読んだ水村美苗の本で、本書のことが絶賛されて…

エッセイ? 評論? 「日本語が亡びるとき」 水村美苗著

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で(2008/11/05)水村 美苗商品詳細を見る評価★★★★ 最近、本屋に平積みになっている話題の本だけど、煽り立てて買わせようとするタイトルがいやで読もうと思わなかった。タイトルが胡散臭いって思わない? オレだけかなあ。…