映画 「チェンジリング」 クリント・イーストウッド監督作

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評価★★★

 チェンジリングとは日本語で「取り替え子」、もともとは北欧の民話にある、妖精が子供をさらい、代わりに残す醜い子供のことをいうらしい。そんなタイトルの映画である以上、映画のストーリーもタイトル同様にちょっと気色悪いミステリーとして展開していく。でも実話なんだって。監督は、何とっても高評価を受けるクリント・イーストウッド

 1920年代末のロサンゼルス。夫に蒸発されたシングルマザーのコリンズ婦人(アンジェリーナ・ジョリー)は、バリバリ仕事して可愛いい幼子を育てている。あるとき、休日出勤して帰ってみると、家に息子がいない。すぐに警察署に捜索を乞うが、警察署は明日までには帰ってくるはずだとして捜索に応じない。それから2週間経っても子供は見つからず、警察の怠慢への市民の批判が最高潮に達した頃、警察から子供が見つかったという知らせが入る。急いで駆けつけてみると、そこには息子とは異なる子供が立っていた。婦人は自分の子供じゃないと訴えるが、警察は「あんたは動揺しているだけ」と断ずる。婦人は何度も再調査を乞うが、警察は逆に婦人の口封じてしまおうと婦人を自署の息のかかった精神病院に送り込み、精神異常者として軟禁してしまう。警察は、自分達の組織の保身を優先し、事件をモミ消したのだ。

 そこで話が終わっては単なる悲劇だが、数日後、ある前代未聞の凶悪な誘拐殺人犯の逮捕によってガラリ一変。その犯人が監禁していた子供達の中の一人に、婦人の息子がいたと判明したのだ。警察の不当行為が白日の下にさらされ、同時に誘拐殺人犯は死刑を宣告される。

 結局、息子は誘拐犯から逃げおおせたことが判明するが、息子はどこかで生きていると信じて一人捜索を続ける母親の息子への愛、信念の強さは、女性ならみんな涙するのではないかと思うくらいに麗しく、そしてすこぶる逞しい。演技もさすがで、やっぱアンジェリーナ・ジョリー、いま最も旬の女優の一人だなと感じさせてくれる。ミステリーとしてのストーリーテリングも秀逸で、悪役である警察の傲慢不遜さにはワタシも憤慨を覚えるほど。また、犯人が子供たちを斧で殺すシーンは目も当てられないが、一方で事件がいかに惨たらしいものかを伝えるのに十分で、加えて、犯人が死刑判決を受けて絞首刑が執行されるシーンもなかなかにリアルだ(ダンサーインザダークとかデッドマンウォーキングの方が深みはあるけどね)。気になるのは熱演するアンジーの顔の化粧の濃さ。もともと色黒だからだろう、塗りたくってしまい、その結果、際立つ白さが逆に不自然だ。やっぱ、アンジーはエキゾチックな顔立ちを活かし、奔放で肉感的な役柄の方がピッタリ似合っている。そう思うのはワタクシだけかしら。