映画 「風が強く吹いている」 

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評価★★★


 三浦しをんの小説を映画化したもの。箱根駅伝を題材にした青春映画。
各種映画サイトを調べてみると、観賞者の評価はどこも高い。けど苦手な青春映画、しかもなんだか安直なテレビドラマみたいな雰囲気なので観るつもりはなかった。でも先週末、知り合いが世田谷246ハーフマラソン大会に出場、朝早く起きて応援に行って来たら、なんだかちょっぴり感動してしまい、そのまま映画館に直行した。
 
 物語は、名もない大学の陸上部4年生のハイジ(小出恵介)が、大学で野宿していた貧乏な新入学生カケルに対し、定食屋で腹いっぱいカレーを食べさせるシーンから始まる。ハイジはそのままカケルをなし崩しで陸上部の寮に住まわせ、陸上部員にしてしまう。カケルを入れて陸上部員はちょうど10名、箱根駅伝に出場するチャンスを得た。10人そろったと言っても、寮にいる陸上部の面々に駅伝経験者はほとんどおらず、トラック競技の経験もスポーツの経験すらも持たない素人もいる、前途は不安だらけという物語。
 
 内容は「ベタ」という言葉そのもの、ありきたりで斬新さはない。音楽もドラマでよく聴く類のもの。役者の演技は(よく言えば小出恵介を除いて)どれもまるで大根役者、演技としての体をなしていないか、もしくは、やり過ぎで不自然。加えて、映画の終盤、駅伝の様子を伝える日テレのアナウンサーが出演してしまうのもいただけない。テレビ局と連携したらダメ作品になる典型で、こんなスピンオフ的な映画ばかりだから最近の日本映画ってツマラナイんだろな。日本でしか売れない作品ばかり。こうした映画ばかりヒットするのってここ3−4年突出した現象で、その裏で、いい映画をがんばって扱ってきた外国映画の配給会社が倒産している(ワイズポリシーとか)。もはや映画界すらも「ガラパゴス状態」化している、いや、単に観賞者のレベルが落ちているのだろう。

とはいえ、なんだか途中から何度も涙が出そうになったw。やっぱ、当たり前だけど努力している人間って美しい。そういや、カケル役の林遣都という俳優、演技は下手だけど走り方がすばらしい。上半身がまったくブレない、まさに駅伝・マラソン系の長距離選手らしい走り方。筋肉の付き方も、役者の中でただひとり、まるで長距離選手のよう。友人に聞いたけど、三浦しをんの原作はもっといいらしい。今度読んでみよっと♪。