映画 「メランコリア」 ラース・フォン・トリアー監督作

評価★★★ 2000年に上映されて世界に衝撃を与えた名作「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアーの最新作。デンマーク映画。上映前から予告編を観て、監督らしい前衛っぽさに心惹かれていたので、すぐに映画館に駆けつけた。 主演はキルス…

小説 「Boy's surface」 円城塔

Boy’s Surface (ハヤカワ文庫JA)(2011/01)円城 塔商品詳細を見る評価★★★★ 東大理学部物理学科、同大学院総合文化研究所で理論物理を学び、「普通の小説家とは違う、数理的小説」と評される円城塔。前からちょっと気になってはいたが、先日、近所のバーの友人…

「魔羅の肖像」 松沢呉一著

魔羅の肖像 (新潮OH!文庫)(2000/12)松沢 呉一商品詳細を見る評価★★★★★※内容はかなり卑猥です。興味のある方だけ読み進めてください。 男のちんこは大きい方がいいのか、小さくても関係ないのか。女のあそこは鈍感なのか。という過去ほとんど調べられたことの…

小説 「柳橋物語・むかしも今も」 山本周五郎

柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)(1963/03)山本 周五郎商品詳細を見る評価★★★★★ 2年前に定年退社した会社OBがmixiのレビューで絶賛していたので、山本周五郎「さぶ」「樅の木は残った」に感動した私は、また感動できるかなと期待して読んだ。 「柳橋物語…

「本を読む本」 M.Jアドラー、C.Vドーレン著 

本を読む本 (講談社学術文庫)(1997/10/09)J・モーティマー・アドラー、V・チャールズ・ドーレン 他商品詳細を見る評価★★★ 元々は1940年に米国、日本では1978年に日本ブリタニカから刊行され、世界各国で読み継がれてきた読書法に関するマニュアル書…

映画 「ヒミズ」 園子温監督作

評価★★★ 原作は、ギャグ漫画「稲中卓球部」で著名な古谷実の漫画「ヒミズ」。ヒミズとはモグラの仲間、ひっそり目立たず、普通に生きていたいという主人公の気持ちから名付けられた。 舞台は震災直後の茨城県。主人公の男子中学生、住田祐一(染谷将太)は、…

映画 「ルルドの泉で」 

評価★★ vidonews.comで高い評価を受けていたこともあり、あと個人的に宗教をテーマとした物語が好きなことから興味が湧いて、渋谷のイメージフォーラムに観に行った。主役は、「サガン」のシルヴュー・テステュー。 フランスとスペインの国境のピレネー山脈…

映画 「灼熱の魂」ドゥニ・ビルヌーブ監督

評価★★★★★ カナダ人監督ドゥニ・ビルヌーブ監督の映画。レバノン内戦に着想を得たレバノン系カナダ人劇作家ワジティ・ムアワッドの戯曲を映画化したもの。途中までは中東の複雑な民族・宗教問題をテーマとした社会派のノンフィクションのように展開していく…

映画 「永遠の僕たち」 ガス・ヴァン・サント監督作

評価★★★★★ ショーンペン主演の「ミルク」や「グッドウィルハンティング」で著名なガス ・ヴァン・サント監督の最新作。 交通事故で両親を亡くし、自身も3日間の臨死体験を経験し、死の世界からやってきた幽霊を友人として生きている青年イーノック。自分以…

あけましておめでとう。

あけましておめでとうございます。ことしもよろしくお願いします。

「料理の四面体」 玉村豊男著

料理の四面体 (中公文庫)(2010/02)玉村 豊男商品詳細を見る評価★★★ 面白いというよりも、私のような、料理を長年作り続けているのにレパートリーは増えないし、さっぱり上手にならないと感じている諸氏にぴったり、とっても参考になる良書である。まず、なぜ…

映画「恋の罪」 園子温監督作

評価★★★ 「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」とミニシアター系ながらもヒット作を飛ばし、宮台真司に言わせれば「現代の寺山修司」と絶賛の評価を受けている園子温の最新作。映画関係者の評価も高く、これは観ておかないとならないな、と半ば義務感をもって観…

映画 「50/50 フィフティフィフティ」

評価★★★★「(500日)のサマー」の主人公役を務めたジョセフ・ゴードン=レビットが主演。「(500日)のサマー」とはあらすじこそ違えど、テンポや展開はとても似ている。同じ監督ではないかと思うくらい。 酒もタバコもやらずラジオ局で真面目に働き、画家の…

映画 「マネーボール」

評価★★★★ 2002年頃のメジャーリーグ、オークランド・アスレチックス。そこのゼネラルマネージャー(GM)に雇われた元メジャーリーガー、ビリー・ビーンの半生を描いたもの。主人公ビリー・ビーンは、独自の「マネーボール」理論を追求し、弱小球団を再建…

映画 「僕たちのバイシクルロード」

評価★★ 2005年、いとこ兄弟のイギリス人学生2人が、ツーリングバイクにまたがり、英ブルックファームを出発、世界7大陸走破の旅行に試みる、その900日を記録した映画。 英仏海峡フェリーにのってフランスに向かい、飛行機に乗らずに欧州大陸・ユー…

「得する生活」 橘玲著

得する生活―お金持ちになる人の考え方(2003/12/01)橘 玲商品詳細を見る評価★★★★ 得する生活 橘玲著 幻冬舎 金融界隈ではちょっと有名な橘玲の実用書。知ってちょっと得する生活の知恵なんてレベルじゃない、知ってないと逆に損をするくらいに有用な本。特に…

映画 「サウダーヂ」 富田克之監督作

評価★★★★★2011年富田克也監督作。山梨県甲府市。甲府市は90年代前半以降、急速に外国人労働者、特に日系人ならば日本人と同じように居住等の権利が与えられるブラジル人の出稼ぎが増え、静岡の浜松や群馬の太田のような地方都市に様変わりしている。もと…

映画 「猿の惑星 ジェネシス」 

評価★ 1968年のフランス映画「猿の惑星」(同名の原作小説より脚本化)以来、何度か続編が描かれてきた「猿の惑星」シリーズの最新版。 今回は、製薬企業のジェネシス社の青年研究者で、アルツハイマーに冒された父を持つ主人公(ジェームズ・フランコ)…

ハーレクインロマンス 「偽りのハッピーエンド」 ジェニー・ルーカス著

偽りのハッピーエンド (ハーレクイン・ロマンス)(2009/07)ジェニー ルーカス商品詳細を見る評価★ 2009年7月刊行。 ツイッターで「ハーレクインの秘書モノがすばらしい件について」っていうはてなブログhttp://anond.hatelabo.jp/20111019011833が話題になっ…

映画 「監督失格」 平野勝之監督作

評価★★★★★ 2011年の日本映画。AV監督の平野勝之が撮ったAVではない私小説的映画。90年代後半に妻を持ちながらも付き合っていたAV女優、林由美香と一緒に東京から出て北海道を回った自転車旅行の録画記録を中心に、交際が終わってからも2003年に彼女が服毒事…

東浩紀編集「思想地図β2ー震災以後」 コンテクチュア社刊 

思想地図β vol.2(2011/09/01)東浩紀、津田大介 他商品詳細を見る評価★★★★ 評論家で小説家の東浩紀(私と同学年)が編集長をつとめる雑誌「思想地図β」の第2号。今回は東日本大震災発生を受けてその編集スタイルを第1号のそれとは全面的に変更している。そ…

小説 「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 ジュノ・ディアス著

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)(2011/02)ジュノ ディアス商品詳細を見る評価★★★★★ 1968年ドミニカ生まれ、リョサとは違って白人系ではない著者が書いた、1930年から31年間ドミニカを恐怖支配した独裁者トルーヒョと彼…

映画 「ハリーポッターと死の秘宝 part2」

評価★★★ 最終回で、しかも評判がいいから観に行った。シリーズを観てないひとや原作を読んでないひとには理解できないだろう。なにせ原作をだいぶ前に読み、しかも英文で読んだために理解が中途半端だったわてくしにとっても最初はなんだか理解できなかった。…

映画 「ココリコ坂から」

評価★★ 宮崎駿の息子、宮崎吾郎の2作目。けっして評価は高くない中、あまり期待しないで観に行ったんだけど、それほど駄目ではなかった。 物語は1963年、東京オリンピックの前年。高度成長期を迎え、日本、そして日本人が元気で活発だった当時、高校生…

「魔女の鉄槌」  苫米地英人著

現代版 魔女の鉄槌(2011/06/22)苫米地英人商品詳細を見る評価★★★ 脳機能学者で雑誌「サイゾー」のオーナー、苫米地英人の新作。15世紀の大ベストセラーは聖書ではなく、1486年に刊行された「魔女に与える鉄槌」という、魔女を発見する手順と審問や拷問…

「津波と原発」  佐野眞一著

津波と原発(2011/06/17)佐野 眞一商品詳細を見る評価★★★ ノンフィクションの巨匠、佐野眞一の最新作。著者の作品はエッセイ等をのぞいてダイエー創業者中内功の実像に迫った長編しか読んだことはないが、取材への長い時間と膨大なエネルギーを費やして完成さ…

小説 「オラクル・ナイト」  ポール・オースター著

オラクル・ナイト(2010/09)ポール オースター商品詳細を見る評価★★★ 2010年9月新潮社より刊行(米国では2003年に出版)。翻訳者は、もちろオースターゆえに柴田元幸。新丸子のバー「rufus」の常連客のはなえちゃんに借してもらった。バーで渡されて、「ああ…

小説 「涼宮ハルヒの消失」 谷川流著

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)(2004/07)谷川 流商品詳細を見る評価★★★ いま若者に人気の大ヒット小説といえば、「涼宮ハルヒ」シリーズである。2010年冬までのシリーズ累計発行部数は650万部、テレビアニメ化もされており、今や飛ぶ鳥を落とす…

映画 「見えないほどの遠くの空を」 榎本憲男監督

評価★★★★ ツイッター上で存在を知り、渋谷に映画論の講義を聴きに行ったこともあるシナリオライター、榎本憲男さんの初監督作品。有名な俳優もおらずロケ場所も少なく、登場人物の会話を軸にした低予算の自主製作映画で、予算はびっくりするなかれ、300万…

映画 「127時間」 ダニー・ボイル監督

評価★★ 米アカデミー作品賞作品「スワムドッグ&ミリオネア」を撮ったダニー・ボイルの最新作。登山中の事故で手を岩に挟まれて生死の境目をさまよった登山家のノンフィクションを原作に迫力あるエンターテイメント風に仕上げたノンフィクションドラマ。主役…