映画 「メランコリア」 ラース・フォン・トリアー監督作

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評価★★★

 2000年に上映されて世界に衝撃を与えた名作「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアーの最新作。デンマーク映画。上映前から予告編を観て、監督らしい前衛っぽさに心惹かれていたので、すぐに映画館に駆けつけた。

 主演はキルスティン・ダンストと(わたしがむかし大好きだった)シャルロット・ゲンズブール。キルティンダンスト演じるジャスティンは有能なコピーライターで、僚友で心やさしきマイケルとの結婚式当日を迎えていた。いちゃいちゃのし過ぎで会場に遅れ姉であるシャルロットゲンズブールになじられる。もともとジャスティンは心の病気を抱えており、時折突飛な行動をして周囲に迷惑をかけてしまう。姉はそんなジャスティンを支え、自分の生活を削って世話をしてきた長い過去がある。姉の夫(キーファー・サザーランド)も姉妹の状況を知っており、これ以上迷惑を蒙るのはいい加減にして欲しいとの気持ちを抱えつつ、無事に結婚式が終わって欲しいと考えている。
しかしながら、ジャスティンは、我がままな自分の母親同様に自分を制御できない。加えて、理由は定かではないが奇妙な軌道をとる巨大な惑星メランコリアが地球に近づいており、ジャスティンはそのエネルギーを感じ始めて更に奇妙な行動をとるようになる。

 当然最後はハッピーエンドではない。思った通り、ロマン主義の影響を受けヒトラーに共感するとしてカンヌから追放されたトリアーらしく、簡単にいえばアーティスティックで、エンターテイメント的要素はまるでない。重々しい気持ちで映画を見終える人も多いだろう。でも、私はこんなトリアーの映画が好きである。やっぱ映画は、どこにでもあるようなストーリー、容易に予想できる定番の終わり方では詰まらない。そんなのはテレビ番組だけでいいのだ。

 追伸 セルジュ・ゲンズブールジェーン・バーキンの娘、妖精シャルロットゲンズブールはだいぶ年をとったが、いまでもすごく魅力的だと思った。