「ラクをしないと成果は出ない」  日垣隆著

ラクをしないと成果は出ない (だいわ文庫)ラクをしないと成果は出ない (だいわ文庫)
(2010/02/10)
日垣 隆

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評価★★★★


戦うジャーナリスト、日垣隆自己啓発本
自分のレビュー欄に、自己啓発本を取り上げるのはちょっと恥ずかしい。自己啓発本を読んでいることはイコール、悩んでいる、迷っている、何かにすがりたいみたいなイメージがつきまとうし、中には宗教やいかがわしいビジネスが絡んでいたりして胡散臭い面もあるからだ。以前、mixiの日記に「学生時代、とつぜんアネキが新潟のオレのアパートにやって来て自己啓発セミナーに連れていかれたことがある」と書いたら、案の定、「おいおい、自己啓発セミナーかよ」みたいなコメントがついていて、「いや、オレが行きたかったわけでなくアネキが、、、」と言い訳した覚えがある。だから、友人や同僚、元上司らも読む可能性が残る(読まないと思うがw)当レビュー欄に、自己啓発本を取り上げるのは今でもいい気分ではない。

 でも、書く気になったのは、アルファブロガー小飼弾が絶賛していたからでもあるが(実際に彼は文庫本の帯まで書いている)、実際に本書を読んでみたら、内容はすこぶる実用的だった。小飼弾が書評で述べているように著者が「普通のひと」だからいいのだろう。日垣隆ホリエモンのように才覚にあふれているわけでもないし、勝間和代のようなストイズムの権化でもない。この種の自己啓発本にありがちな、“単に強運を持っていただけじゃね”的なビジネスエグゼクティブとも違う。苦労して学び、また苦労して失敗してはやっとこさ掴み取ったものだから実用的なのだ。本書で著者が薦める処世術は合計100個ある。そのうち一つだけ紹介しよう。
「探し物は一カ月で合計1時間以内(と決める)」。さて、どうでしょうかw。

最後、常々わたくしが思っている考えと同じ言葉に出合ったので付け加えておきたい。
「(人生は)図らずも襲ってきた不運や不幸を乗り越え、下から上に上がっていくとき、人は充実感を得る。わざわざ招かなくても不運や不幸は突然にやってくる。子供や配偶者などの人の死は特別なものだが、それ以外の不運は10年後には必ず人生の肥やしになる」。まったく同感だ。やはり日垣隆は苦労人なのだろう。