社会科学書「ビジョナりー・カンパニー」 (2006.5.27)

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
(1995/09)
ジェームズ・C. コリンズジェリー・I. ポラス

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mixiの社長も含め、今をおときめく起業家たちがこぞって愛読書として絶賛してきた本。ビジネス書はあまり得意ではないのだが、ここまで多くの人が褒め称える本なら少しは勉強になるかも、という気持ちで読んでみた。
 
 3M、P&G、ディズニー、GE、ソニー、IBMといった、同業他社からも広く尊敬を集め、社会的に大きなインパクトを与え続けてきた企業を「ビジョナリー・カンパニー」として位置づけ、それらの企業が(先見性ある、未来志向の)『ビジョナリー』たりえる背景、理由を法則化。すばらしい商品もビジネスモデルも、多大な影響力を及ぼすカリスマ経営者も、必ずしも必要なわけではないと言い切る。確かに、すばらしいビジネスモデルでも、いつかは時代とともに陳腐化し、カリスマ経営者もいずれ死んでしまう。それなら、逆にそんなものは始めからない方がいい。常に意欲的に何かを産み出し進歩していくシステムをつくった方が、遙かに永続性を保てる。それを作ってきた企業こそがビジョナリー・カンパニーであるという(『時を告げる指導者になるのではなく、時計を作る設計者になれ』と)。はたから見ると奇妙な、カルト的文化を多くの企業が持ち、従業員が心から信奉していることも指摘。利益を追い、株主価値を最大化するといった、昨今は当然とされる経営目標も、それは(高尚で壮大な)基本理念を追求した結果として得られるもので、優先順位の高いものとすべきではない、と断言している点も感心できた。しかし、よく研究してあるわ。
 
 ちょっと胡散臭いって!? そうね、やっぱり、マニュアル的なビジネス書だなあ〜。同じ文章、コンセプトが何度も何度も繰り返されて、しつこいところが安っぽい。本自体は厚くて高額なんだから、もっと薄くして安くした方がいい。