小説「オルタード・カーボン」 リチャード・モーガン著 (2005.2.14読了)

オルタード・カーボンオルタード・カーボン
(2005/03)
リチャード モーガン

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評価★★★★
 
これも05年に刊行されたミステリの中では、かなり評価が高かった、イギリス人の元英語講師が書いたSF。
 設定は27世紀。お金さえあれば、頭脳をデジタル化し、メモリースタックに保存し、別の肉体に移し替え、肉体を乗り継ぐことで、永遠に生きられることが可能になった時代。自殺と断定された或る大金持ちがメモリーで復活し、地球外惑星で刑に服する一人の特命外交部隊員を雇って、自殺の真相を調査させるというストーリー。主人公はその元特命外交部隊員。
 
 あとがきに書かれているように、プロットは精緻で、ハラハラドキドキするサスペンスに満ちている。伏線も謎解きもうまくまとまっている。でも正直、設定が複雑で、特に上巻は面倒くさくなって、読み進めるに時間がかかった。
 でもね、ステキなのは、主人公の残虐性と矛盾する純粋さ、そして、諧謔にみちた会話、アフォリズム。それがすごく、格好いい!!! 最後のシーンなんて、古き良きハードボイルド小説を読んでいるような哀しさに、グッときて、しばらく「最後まで読み切って良かった〜」と噛みしめた。
 
 久しぶりに良いバードボイルに出会った気分。マイクルコナリーの「暗く聖なる夜」も、面白かったけど何か足りない感じだったしね。あえて欠点をあげつらえば、そうね、ちょっと前半が冗長なところかな。