「マラソンは毎日走っても完走できない」 小出義雄著


マラソンは毎日走っても完走できない―「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ (角川SSC新書)マラソンは毎日走っても完走できない―「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ (角川SSC新書)
(2009/11)
小出 義雄

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評価★★★★★


 シドニー五輪の女子マラソン金メダリスト、Qちゃんこと高橋尚子の元トレーニングコーチである小出義雄氏が書いたマラソンの練習ハウツー本。ネットで評判が高かったので早速買ったんだけど、評判通りであった。今までの自分のランニングはいかに漫然としてダメであるかに気付かされた。

 テーマは「マラソンは簡単に完走できないし、記録も伸ばせない。止まらず走り続けて記録をも伸ばすにはトレーニングに負荷をかけないとならない」ということ。42.195?が完走できないのは、呼吸が苦しくなるからではなく脚がまいってしまうからであり、一本調子の練習を続けていては、毎日走っていても記録は伸びない、無駄だというのだ。

 そこで小出監督の紹介する練習法はまずウォーキングでの脚つくりからスタートする。体重を落として脚が出来てきたら練習に入る。フォームは背筋を伸ばし、目線は3メートル先。あまり遠くの先を見ているとアゴがあがってしますからだ。レース用の練習メニューで肝要なのは呼吸を追い込むこと。メニューは?インターバル走?レペティション?ビルドアップ走?ペース走の4つがあり、特に重要なのがインターバル走とビルドアップ走という。ここに彼の勧める練習法の一例を紹介しよう。

ハーフマラソンの準備方法

土曜日 15−20キロ(後半7−10キロはビルドアップ走)
日曜日 ジョギング
月曜日 休み
火曜日 ビルドアップ走で10キロ
水曜日 休み
木曜日 ジョギング10分+全力20分+ジョギング10分
金曜日 休み


フルマラソンの準備方法

土曜日 (全力2分+ジョギング2分)×3−8セット
(全力5分+ジョギング5分)×3−8セット
(全力10分+ジョギング5分)×2−3
日曜日 90−180分走LSD(25−30キロ)/山歩き4−6時間
月曜日 休み
火曜日 30−60分ジョギング
水曜日 60分ビルドアップ走(10分ジョギングの後にペースを上げていく)
木曜日 休み
金曜日 30−60分ジョギング



レース直前のコンディショニング

土曜日 タイムトライアル3−5キロで追い込み
日曜日 休み
月曜日 ジョギング
火曜日 ビルドアップ走12キロで追い込み
水曜日 タイムトライアル2−3キロで追い込み
木曜日 休み
金曜日 30分ジョギング


 最後に重要なことは焦らないこと。レースは最初は混雑してうまく走れないものだが、けっして焦らないで体力を温存していることだとおいいう。そして5−10キロ地点あたりがランナーズハイになって体が軽くなり、スピードを上げたくなるものだが、がまんして抑えること、それが後半のスタミナ持続につながると訴えていた。