映画「ゆれる」  (2006.8.22)

ゆれるゆれる
(2007/02/23)
オダギリジョー

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評価★★★


 31才の早大卒女性監督による、重厚さが話題になっている作品。

 東京でカメラマンとして華やいだ生活を送る弟(オダギリジョー)が、母の一周忌で久しぶりに帰郷し、家業のガソリンスタンドを継ぎ真面目に働く兄(香川照之)、そのガソリンスタンドで働く幼なじみの女の子(真木ようこ)と一緒に、近くの渓谷を訪れる。
 女の子は、何もない田舎の生活を疎み、弟の住む東京で暮らしたいと切り出すが、弟ははぐらかすようにその場を離れ、渓谷に架けられた吊り橋を渡って逃げていく。女は弟を追ってつり橋を渡ろうとするが、弟に嫉妬したのか兄も女を追いかけ、揉み合いになって、女が吊り橋から落ちてしまう。
 女が落ちたのか、兄が落としたのか。兄は自分が落としたと自供してしまう。一部始終を見ていた弟は兄をかばって努力する。しかし兄は、自由奔放に生きる弟に嫉妬し、弟の献身を、殺人者の身内になりたくないという自己保身・偽善だと断定。弟が兄に対して抱いていた信頼が一気に崩壊してしまう。

 兄弟間の嫉妬や葛藤という、まるでカインとアベルの物語のような、重いテーマ。脚本は教科書的で展開が読めてしまうが、それでも随所に説得力あるセリフが出てくるし、女性監督の力量、才知を感じる。最後のシーンなんて暖かくてホントいい。主演のオダギリの演技がとっても自然でしっくりくる。でも、各所で絶賛されるほどだろうか。兄役の香川照之を筆頭に、父役の伊武雅刀も、演技が旨いを超えて、やり過ぎてる。舞台での演技を見ているようだった。